雑誌メンズナックルが提唱する「伊達ワル」系ファッションとは?
日本の繁華街を歩くと目に飛び込んでくる強烈にアウトローな存在感をアピールする男たち。アウトローなオーラを発散するこのスタイルは、ガラパゴス的に日本独自の進化を遂げた、世界に類を見ないアウトローファッションだ。アウトローファッションにはその時代を生きる不良たちのライフスタイルが反映されていて、そこには時代に流されないアウトローの男たちの魂がこめられている。
1960年代のカミナリ族にはじまり、米軍基地近くの横須賀で生まれた不良ファッションのスカジャンの名称が全国に広がったのもこの頃だ。70年代にはロックバンドのキャロルがメジャーデビューし、キャロルを真似て髪をリーゼントにする若者が急増。80年に入ると夜露四苦など漢字がデザインされた特攻服が広まり、チャンプロードもこの頃に創刊。90年代にはストリート系のチーマーが登場し、2000年代にはメンズエッグやメンズナックルの創刊により、ギャル男やお兄系の伊達ワルが登場する。2009年にはソウルジャパンが創刊し、お兄系のワルさの部分をコアにしたオラオラ系ファッションが登場。時代とともに不良の呼び方は変わってきたように、そのファッションも時代とともに変化してきた。現代では伊達ワルなお兄系やオラオラ系、ビター系などさらに細分化したスタイルへと進化を遂げている。
伊達ワルというファッションの基本スタイル
アウトローファッションといえば、誰もが口を揃えてその名を挙げる男性ファッション誌「MEN'S KNUCKLE(メンズナックル)」。「ガイアが俺にもっと輝けと囁いている」「俺のフェザーから鳥人拳を繰り出す」「冬眠から目覚めしオレのワイルドハート」など、独特なキャッチフレーズで現代のアウトローファッションを日本に定着させたメンズファッション誌である。誌面に躍るこの独特なキャッチフレーズには、アウトローに憧れる男達の世界感が主張されている。
伊達ワルファッションの基本スタイル
- アウターやボトムスなどのメインアイテムはブラックでまとめる。
- シルエットはダボつかないようタイトに。
- エレガントさを表現したブーツやファーでインパクトを与える。
- 小物は十字架やドクロのネックレスなど、大きめのシルバーアクセサリーを身に付ける。
- 髪型は金髪や茶髪を盛ったホスト風でモテ男を雰囲気をアピールする。
メンズナックル編集長・篠塚雅也氏いわく、「男の色気を全体で表現するのに不良っぽいところをいれたのが伊達ワルであり、その伊達ワルというものが出ているのがメンズナックルという雑誌」だと言う。メンズナックルが提唱してきた「伊達ワル」というファッションスタイル。伊達ワルという言葉には、伊達男というテーマの他に、伊達メガネの伊達という意味もある。ワルぶるというニュアンスもこめられていて、本当のワルではない。
女性から見た伊達ワルファッション
男の生き様を映すアウトローファッション。そのファッションの目的の1つが女性ウケ、異性へのアピールだ。伊達ワル系のファッションはギャル男スタイルの流れを一部汲んでおり、いわゆる女モテファッションとして現代の若者に広く認知されている。女性が伊達ワル系に惹かれるポイントは、清潔感があってオシャレ、そして男臭くないこと。一方でナルシストっぽい、頼りなさそう、などと言ったマイナスな一面もある。
伊達ワル系ファッションのブランド
ブラックを基調とした伊達ワルなファッション。ゆえにブラックカジュアルを豊富に揃えたブランドが人気だ。これらはお兄系ブランド、メンズナックル系ブランドなどとも呼ばれる。その代表的なブランドをいくつか紹介する。メンズナックルによく掲載されているブランドをまとめたものはこちらで掲載しているので、合わせて参考にして欲しい。
WILD PARTY(ワイルドパーティー)
ワイルドパーティーはアウトローテイストをベースに置く伊達ワルブランド。伊達ワルの内面を表現したかのような毒々しい柄シャツなどを取り入れ、ドープなコーデで魅せる。毒々しいまでの艶っぽさが伊達ワル男の真髄。都会に対峙しても一歩も引かない存在感、そしてワイルド感と妖艶な色気を漂わせる。
VANQUISH(ヴァンキッシュ)
ベーシックながらもトレンドを取り入れたデザインで、洗練されたお兄系のスタイルを提案するヴァンキッシュ。こだわりの詰まったアイテム、生地、シルエット、加工、付属品に至るまで、ヴァンキッシュの技巧が光る。甘みと渋みを両立したコーデに使えるモノトーンカジュアルなど、知的かつ審美的に男の美学を貫く世界観がここにある。
VICE FAIRY(ヴァイスフェアリー)
艶っぽい大人の色気を醸しだすメンズナックル系ブランド。アウトローの中にもラグジュアリーさを加えた「今」らしさを表現すべく、人気ウェアの他にもミリタリーアイテムなど武骨なウェアも取り入れている。ブラックスタイルに良くマッチするカラーバランスが目を惹く。素材、加工全てが純国産で、職人によるハンドメイドというアクセシリーズは圧巻。
BUFFALO BOBS(バッファローボブズ)
バッファローボブズは1990年代後半頃に裏腹の古着屋としてスタートして、その後、オリジナルのアイテムを作るようになったブランドだ。歴史があるのは渋谷系メンズブランドでは珍しい。ボブズの持ち味といったらやっぱりレザーとスーツ、そしてドレープ系。今も昔もブラックのイメージは変わらず、それでいて時代とズレずにトレンドを引っ張っている。
Xfrm(トランスフォーム)
伊達ワルの聖地109-2と同時に生まれたブランドがトランスフォーム。悪ガキが大人の不良へと変身する。そんな変化を遂げた“大人の不良”をブランドコンセプトに、より男臭く、より不良らしい仕上げたアウトローな雰囲気。その中にも大人の味や風格を感じさせるスタイルを発信。時代を鋭く感じ、変幻自在に進化していくトランスフォームは、渋谷だけに留まらず、一気に日本中に広まった。
FUGA(フーガ)
ブラックの表現方法において業界から一目置かれるFUGA(フーガ)というブランドは、独自の世界観を持ち、ファッションの常識を破り続けている。よりディープにブラックという色に向き合っているフーガは、ワイルドなアウトロースタイルからセクシーなテイストまで揃っている。伊達ワルブラックの真のポテンシャルを知りたいならフーガでキメるべし。
LAGUST(ラガス)
大胆かつ繊細なグラフィックでネオ・アメカジを提案するラガス。ネオ・アメカジでワル色に染める。同ブランドのアイコンであるスカルをONしたアイテムやルード感のセットアップ、ナチュラルな西海岸アウトローコーデなど粋な不良フレイヴァーを醸しだす。既成の概念に囚われることなく、あらゆるスタイルを取り込み、独自のフィルターを通して表現し続けている。
MIDAS(ミダス)
モノトーンで創造するダーメジ加工のグランジ感と独特なミステリアス感の融合が楽しめるMIDAS(ミダス)。特にファー使いに定評があるブランドだ。ダブルファーやフロントまでびっしりのファーなどで、狂おしいほどの野性味、ワイルドさを滲み出している。闇夜に輝くラグジュアリーなコーディネートは、華やかなのにどこかクール。